掛川市にある資生堂アートハウスで開催中の「日本画展~春から夏へ~」を観覧した。今日が最終日である。この施設は、資生堂の掛川工場の建設計画と抱き合わせで作られたものだ。経済活動+文化活動というコンセプトのようだ。資生堂が
持っているコレクションの中からテーマに沿って選ばれ展示される。建物は新幹線の中から見えるが、とてもユニークで、展示スペースの建物は外から見るとお椀を伏せたような形で、全体が芝生で覆われている。今回の展示の目玉は横山大観の「くよく」であろうか。昭和22年の作で絹本彩色である。白椿の枝にとまった鳥を描いている。気品あふれる作品である。何故か椿の葉が生彩に欠け青々としていない。終戦直後の国土の興廃が反映されているのだろうか?一番数が多かったのは上村松こう、次に山本丘人、奥村土牛らである。山本丘人は新興大和絵展(大正15年/1926年)に出展した作家らしく、大和絵の楚々とした清らかさが作品全体にあふれていて、日本だなあと感じさせる。徳岡神泉の「菖蒲」は、パウル・クレーの「青い花」を連想させ、自然界を統べるその本質を描こうという気迫が漂っている。今日は日差しが強かったが、こうした日本画の世界にしばし浸れる時間を有り難いと思うのみである。
- POSTED at 2011年06月26日 (日)