1972年6月、大阪フェスティバルホールでのマーラー「千人の交響曲」公演
ゲーテの「ファウスト」は作者の死の前年(1831年)に完成した。その最終章はマーラーによって音符化され(交響曲第八番第二部)た。その日本での演奏を1972年6月、大阪で聴くことが出来た。朝比奈隆指揮+大フィル+大合唱団で総人数は1000人を優に超えていた。公演の前のゲネプロも聴くことが出来たのは幸運だった。宇宙が鳴り響く、とマーラー自身が表現したその音響世界を実感したのである。『神秘の合唱』が「ファウスト」の最後の最後の部分で、以下のように書かれている。般若心経の「色即是空空即是色」に符合しているではないか!
すべて移ろいゆくものは比喩にほかならず、
生じ得なかったことが、ここに顕れ、
名状し難きことも、ここに成就する。
永遠に女性的なるものにいざなわれ
高みへと我等は昇りゆく。
ゲーテが混迷し迷妄に覆われた魂を救わんと、「ファウスト」の原稿の仕上げに勤しんでいた頃、遠く離れた日本では二宮金次郎が
「一円融合」の認識に目覚める新勝寺での断食修行を行っていた。そして、「ファウスト」が脱稿された頃、金次郎は「報徳訓」をまとめあげたのである。
- POSTED at 2021年04月06日 (火)