スイスの画家パウル・クレー(1879-1940)の展覧会「パウル・クレー おわらないアトリエ」が京都での会期を終え、今月31日より東京国立近代美術館で開かれるという。生涯で約9600点もの作品を生み出したが、それらは作家自身によって克明に記録され、目録として残っているという。今回の展覧会は、その制作のプロセスがわかるように展示されている。会期は7月31日まで。クレーの作品は、深海にもぐった時に遭遇するという、あるいはいくつもいくつも山を越えてたどり着いた神域で出会うような、そんな日常を超えた視点で初めて”観えてくる”ビジョンのような、そんな印象を持っている。ナチスがそんなクレーの作品を”退廃芸術”(Entartette Kunst"として取り扱い、犯罪人のように市中を引き回し、あげくの果ては500点ほど略奪したという。それは単にクレーがユダヤ人であったからだ。向こうの地の土着の人間は、”さまよい人”(Wanderer)をいぶかしみ、あるいは嫌悪するのだろう。惻隠の情などないのだろう。3年前にベルンのPaul klee Museumを尋ねたとき一番
惹きつけられたのは「青い花」(Blaue Blume)であった。
- POSTED at 2011年05月22日 (日)