- POSTED at 2020年05月18日 (月)
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音楽
グスタフ・マーラー(令和2年5月18日)
今から47年前の昭和48年(1973)、大学の卒論に取り組んでいた。テーマはドイツの作曲家グスタフ・マーラーだった。ゼミはドイツ文学だったが、指導教授の八木浩先生が「音楽でもいいよ」との一言があったのだ。先生自身「リヒャルト・シュトラウス」の訳書があった。当時、マーラーについての日本語文献がなく、大阪梅田の丸善に原書を注文、届くまで3か月を要した。ラジオ技術という雑誌に音楽評論家の吉田秀和先生がマーラーについての評論を連載を始められたばかりで、そのことは三ノ宮の書店で知った。「卒論でマーラーをやっております」旨記して年賀状をお送りしたところ、「どの部分に重点をおいていますか?頑張ってください」とのはがきを頂戴した。日本語で原稿用紙49枚、ドイツ語はオリベッティのタイプライターで20枚にまとめた。奈良の菖蒲池の下宿でレコードを聴きながら、原書を読みながら悪戦苦闘した。今から思うと、物質の世界とは違う価値空間に関わる機会があったことはよかったなあ、と思う。現在、アートフォースM&Kという屋号でアート展の企画・運営の仕事をしているが、アートフォース(artforce)とは、美の力、まさに目に見えないもに価値を見出す、という意味なので、素朴な感慨を覚えている次第である。ちなみに、八木先生からは『いろいろな思想家の暗示をたどり 予感的に対象に接近して エッセイ風にまとめるのに成功した、よい論文である。』との評をいただいた。今日はグスタフ・マーラーの命日である。