~安曇野に移住して10年になる。移住を決断した当時、僕は大阪の片隅で、たよりなげながらも版画家としてやっと小さな形を創り始めたばかりだった。そこには、ある居心地の良さはあったけれど、大都会の中で流されてしまいそうな自分と、刺激の多い環境のはずの都会にかえってマンネリを感じ始めていた時期でもあった。
そんな時に訪れた安曇野は、新しい自分、新しい生き方が出来る場所なのではないかという期待感と,未知の場所での生活という緊張感があった。ちょうど自分自身の中でも変化を求めていた時期だった。そんな10年前、安曇野の『森に流れる空気』が一つのスイッチをそっと押した気がする。森には人を引きつけてしまう空気が流れていた。
- POSTED at 2020年07月22日 (水)