平成の御代がまさに終わりを告げようとした昨年の春、徳間書店から「明智光秀 五百年の孤独」という本が世に出た。著者は日本文化チャンネル桜のキャスターを務めておられる宮崎正弘氏である。以下,同書より~戦国と雖も知識人は当時必ず読んでいた書物がある。『万葉集』『古今和歌集』『新古今和歌集』は当然の教養書であり、加えて『太平記』を読むのは知識人の常識だった。この列に『神皇正統記』と『愚管抄』が加わる。~ 江戸時代後期の農政家・二宮尊徳の勤労・分度・推譲の三訓が「至誠」を本(もと)とするように、光秀の遺作もまたその本となったであろう上記の教養書を読んでいなければ正しい解釈は出来ない。「本歌取り」が連綿と続く日本的手法なのである。
- POSTED at 2020年10月14日 (水)