即ち天皇は、遠く嵯峨天皇の弘仁九年(西暦八一八年)の春、天下大疫の時、嵯峨天皇が般若心経を書寫し給うた古例に倣わせられて、般若心経を筆寫し給ひ、その功徳を以て蒼生の病難を除かんと祈念し給うたのである。 浅間神社の所蔵にかかるものには、國名甲斐國の下に續けて「國土安穏,萬民和樂」とある。國土萬民を御 念し給ふ大御心が奉察せらるるのである。
尚これには武田信玄が一紙を附して次の如く記してゐる。
人皇百五代後柏原天皇第一皇子今上皇帝宸筆
その包紙に次の如くある。
勅筆
奉納神前般若心経一巻天文十九年 卯月廿日大膳大夫晴信
尚別に、信玄自筆の短冊が添へてある。
うつし植えるはつ瀬の花のしらゆふをかけてそ祈神のまにまに
- POSTED at 2020年11月14日 (土)