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ブログ

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ベネチアの夜(5月26日)

都留文科大学教授で文芸評論家の新保祐司(しんぽゆうじ)氏が滞在先のベネチアから”ベネチアゆかば”というエッセーを産経新聞に寄稿している。旅先で書かれた文章には、ことばのひとつひとつに羽が生えているようでのびやかだ。この町のフェニーチェ劇場でマーラーの「交響曲第6番」を聴いた事を披露した後、さらに8年前に英国の古都カンタベリーで聴いた同じくマーラーの「交響曲第3番」に言及、その中に(第4楽章)挿入され、アルトソロによって歌われるニーチェの詩を紹介している。この詩は、スイスのシルスマリーアという高地保養地にある湖の畔に立つ石碑に刻まれている。夏休み(1985年)の旅行で一度訪ねたことがある。詩文は以下の通りである。
 
  O  Mensch!                    おお、人よ!
      Gib acht!                      注意せよ!
     Was spricht die tiefe Mitternacht!       この深い夜が語ることを!
     Ich schief!                      私は眠ってしまった!
     Aus tiefem Traum bin ich erwacht!      そして、深い夢から目が覚めた!
     Die Welt ist tief!                   世界は深い!そして、
     Und tiefer als der Tag gedacht!        昼が考えたよりも深いのだ!(筆者訳)

  新保氏の鋭さは、この詩から現代日本の社会状況を演繹しているところだ。
     曰く:”戦後民主主義とは、世界を「昼」だけにしようとしたものであった。そこ
     では、夜は過剰に明るくされ、世界は浅くなり、日本人の精神もさらに浅くな
     った。民主党政権とは、戦後民主主義の完成形態であり、その政権下の日
     本は、内政、外交、防衛などすべてがうすっぺらになってしまったのである。
      ” そして、”今回の大震災は、世界は昼が考えるよりも深いという真理に
      日本人を覚醒させるものであった。”と説き、さらに、節電で”東京の夜が
      暗くなったことは、その夜の中で、日本人の精神が深くなることへ導くの 
  ではないか。内村鑑三がいうように、日本人はもっと深くならなければ
      ならない。”と奮起を促す。ちなみに、氏のデビュー作は「内村鑑三」である。
      余談であるが、ベネチアには3度程行ったことがある。初回はハンブルクから
  車で行ったのであるが、スイスを経てさらにミラノから東進、着いたのは夜の
  9時頃だった。水上タクシーから周囲を眺めると、暗いというよりも黒かった。
  壁のように立ちはだかる漆黒の夜だったのを覚えている。新保氏のエッセーに
  書かれている通りである。

   
            


リヒャルト・ヴァーグナー(5月22日②)

今日は作曲家リヒャルト・ヴァーグナー(1813-1883)誕生の日である。高校1年生のときFM放送でバイロイト音楽祭の実況中継を聴いて以来ファンになったが、それが高じて1979年にヴァーグナーの生地ライプチッヒを夏休みの旅の旅程に入れたことがある。当時はまだ東ドイツだったので、”国境の町”でバッハの生地アイゼナッハ経由でライプチッヒに入ったが、ヴァーグナーの生家はもうなかった。そのあと、プラハ、ヴィーンを経て聖地バイロイトに移動、バイロイト祝祭劇場を見学し、Wahnfriedというヴァーグナーの邸宅を訪ねた。実際にヴァーグナーの楽劇を聖地バイロイトで聴く機会があったのは、1984年だった。「オランダ人」「タンホイザー」「マイスタージンガー」「ロ-エングリン」などがあったが、最後の作品”パルシファル”にいたく魅せられた。ヴァーグナーが立ち会えなかったこの作品の初演を聴き、その後の作曲活動の心の支えにしたのが当時23才のグスタフ・マーラー(1860-1911)である。昨日の関連となるが、クレー同様、ヴァーグナーもまた”さまよい人”であった。”さまよえるオランダ人”という作品は直接的であるし、また大作”ニーベルンゲンの指輪”にも”さすらい人”(Wanderer)が登場する。その不安定な心理が温床になっているヴァーグナーの作品群が生まれる原動力はちょうど真珠の形成過程に似ている。再来年2013年はそんな大作曲家の生誕200年の年だ。日本では、伊勢神宮の式年遷宮(20年に一回)と出雲大社の式年遷宮(60年に一回)が同時期に行われる。つまり、天津神と国津神とが同時に遷宮されるのだ。何かがブレイクスルーする年になるであろう。

パウル・クレー展(5月22日)

スイスのベルン郊外に立つパウル・クレーセンター

スイスの画家パウル・クレー(1879-1940)の展覧会「パウル・クレー おわらないアトリエ」が京都での会期を終え、今月31日より東京国立近代美術館で開かれるという。生涯で約9600点もの作品を生み出したが、それらは作家自身によって克明に記録され、目録として残っているという。今回の展覧会は、その制作のプロセスがわかるように展示されている。会期は7月31日まで。クレーの作品は、深海にもぐった時に遭遇するという、あるいはいくつもいくつも山を越えてたどり着いた神域で出会うような、そんな日常を超えた視点で初めて”観えてくる”ビジョンのような、そんな印象を持っている。ナチスがそんなクレーの作品を”退廃芸術”(Entartette Kunst"として取り扱い、犯罪人のように市中を引き回し、あげくの果ては500点ほど略奪したという。それは単にクレーがユダヤ人であったからだ。向こうの地の土着の人間は、”さまよい人”(Wanderer)をいぶかしみ、あるいは嫌悪するのだろう。惻隠の情などないのだろう。3年前にベルンのPaul klee Museumを尋ねたとき一番
惹きつけられたのは「青い花」(Blaue Blume)であった。

田植えの季節(5月21日)

田植えが始まった。昔は、近所どうしが順番に手伝いあって苗を植えたが(手植え)、最近は田植え機械を使って一人でやっている。誠に淋しいというか、つい笑ってしまう光景である。苗代である程度成長し大きくなった苗を抜き、束ねる。その作業をしながら、ベートーヴェンの「田園」の終楽章のメロデイーを口ずさんだりした。秋の刈入れまでいろんな作業が待ち構えている。それらをひとつひとつこなしてやっと実りの秋を迎えることが出来る。水があり、空気があり、適度な気温があるという自然(カミ)の恵みへの感謝が新嘗祭であろうか。秋祭りは、収穫に向けて皆で助け合ったからこそ盛り上がりがある。

「球心いまだ掴めず」(5月20日②)

スポーツとしての野球を野球道までに高めた元駒沢大学野球部監督・太田誠氏の自伝である。先月12日に浜松市南区のある食堂でバッタリとお目にかかった。自分のことを覚えていて下さっていて光栄に思った。その頃小国神社(静岡県森町)で開催中の日本画家・鳥居禮展で作品をお求めになった方を訪ねる前に1時間ほど余裕があったのでその食堂に入ったのだった。ご縁というものは不思議なものだ。2年振りだったろうか?ご馳走になった天ぷら定食は、見ると目が丸くなるほどきれいな光を放っていた。新鮮な素材、きれいな油、そして心のこもった調理、さらに恐れ多くもおもてなしいただいたこと、それらが一体となって光となるのだろう。8年前に鳥居先生のお宅でも天ぷらをご馳走になったが、あの時と同じような静かな感動だった。料理も日本美なのだ。自宅に戻って、和室の机に置いてあった太田先生の著書「球心いまだ掴めず」を読み始めた。ぐいぐいと引っ張り込むような文章の妙に魅せられ一気に読み進んだ。以下、目を見張った部分である。
 ・心の中を無にして集中しなければいけない。「空」の状態にして初めて本当のスイングは出来るのである。
 ・(練習の)量が質になる。
 ・バッテイングの基本は、いかにボールを近くまで見ることができるか、にある。.....長くバッテイング練習をやっていけば、
  必ず心と技術が統一されるときがくる。
 ・バッテイングは、線と線で点を打つ。線のイメージで打つ。
 ・ボールを受ける肉体は受身であるが、心は攻撃する。
 ・守りによって敵を攻撃することを考えた。「攻撃的守備」

太田監督は、35年の監督生活において、501勝335敗の成績だった。これは、まさに「3 対 2の法則」に合致している。
古事記の「黄泉の国」の章:自分の醜く変わり果てた姿を見られたことに怒ったイザナミノミコトがかつての夫の国の民を一日に1000人殺す、といったのに対して、イザナギノミコトは、では私は一日に1500人生まれるようにしましょう、と応えたという。1500対1000=3  対 2である。太田監督の
着地 501 勝 対 335敗 もまた、3 対2である。この数字の符合は美しい”現象”である。日本美であるともいえるのだ。この数字のプロポーションによって世の中は美しくポジテイブに生成発展するのだ。ちなみに今日は太田監督のお誕生日だ。私の長男もまたきょうが誕生日なので、この著書に監督のサインをいただいて東京に住む長男への誕生日プレゼントにしようと思い立った次第である。この本は、日刊スポーツ社刊、1,575円(税込)である。是非ご一読をお勧めしたい。
  

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